ビジネスモデル特許が門前払いされないためには

お伝えしたいこと

  1. ビジネスモデル特許は、巷での「ビジネスモデル」とは異なる。
  2. ビジネスモデル特許は、申請の仕方がポイントである。
  3. 取得のハードルは3つあり、さらに、もう一つある。

ビジネスモデル特許は、巷での「ビジネスモデル」とは異なる。

巷のビジネスモデルとは何か?

「ビジネスモデル」とは、商品・サービスを提供することで利益を挙げる仕組み、と理解されています。

同じ商品・サービスを似たような仕組みで利益を挙げようとしている会社ってたくさんあります。近くのコンビニエンスストアなんて最たるものでしょう。

そのため、最も先に商品・サービスを提供して、先行利益を得るために、ビジネスを独り占めする方法があります。それが、特許を申請して取得しておくわけです。

通常、特許というと、メーカー、通信事業者などの技術屋さんのテリトリーと思われてきました。ワンクリック特許というのがあり、それにより、EC(電子商取引)に関するシステム関連の出願が流行りました。平成8年(今から20年前)です。そのころから、メーカーや通信事業者などでなく、今まで特許とは縁もゆかりもない企業から出願されるようになりました。

ビジネスモデル(ビジネス方法)それ自体は、特許されない。

ビジネス方法として、わかりやすい例を一つあげましょう。

「いきなりステーキ」のお店をご存じでしょうか?それを運営する「株式会社ペッパーフードサービス」が、2016年6月4日に、「ステーキの提供方法」について特許申請しました。次のようなステップを含んだ方法としています。

① お客様を立食形式のテーブルに案内するステップ
② お客様からステーキの量を伺うステップ
③ 伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップ
④ カットした肉を焼くステップ
⑤ 焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップ

この①~⑤を読まれた方どう思われました?

自分で、お店からお肉を買ってきて、家庭で通常行う調理と似ているのではないか?と思われた方もいらっしゃると思います。

ビジネス方法、それ自体は、「発明」にはなりません。

ビジネスモデル特許は、申請の仕方がポイントである。
~どのようにすれば、門前払いにされないのか?~

ビジネスモデルを技術的アイデアに変換する。

特許制度では、新たで有用な「技術的なアイデア」を保護するものです。この「技術的なアイデア」を「発明」とよんでいます。

そのため、メーカーの製品(部品・完成品)やその製造方法は、もちろん、「発明」に当たりますし、IT事業者が行う通信サービス、クラウドサービスなども「発明」に当たります。

一方、ビジネス方法(ビジネスモデル)は、「技術的なアイデア」とはなりません。そのためのギアとして、そのビジネス方法をコンピュータ、スマートフォン、携帯電話を用いて行う場合には、そのソフトウエア(プログラム、アプリケーションなど)をハードウェアを用いて制御するという方式を採用していれば、「技術的なアイデア」に当たるとしているのです。

いきなりステーキを例にとると

先ほど挙げた「ステーキの提供方法」の特許申請は、案の定、特許庁の審査において「発明」ではないと認定され、反論により、「ステーキの提供システム」と書き直され、

・お客様を案内したテーブル番号が記載された札

・お客様の要望に応じてカットした肉を計量する計量機、

・お客様の要望に応じてカットした肉を他のお客様のものと区別する印し

というツールを備えるとして、特許(特許第5946491号)とされました。

しかしながら、その後、第三者から「発明」に、もはや当たらないのではないかという主張がなされ、特許庁において無効とされ、現在(2018年7月現在)、裁判所で争われています(平29行ケ10232) 。

では、どうすればよかったでしょうか?

一つの考えでは、「お肉」の在庫管理システムとして、
・注文受付端末装置において、お肉の種類と量の入力を受け、
・お肉提供端末装置において、注文受付端末装置に入力された「お肉の種類と量」を表示して、それに見合うお肉を選択するための指標を表示し、
・在庫管理データベースにおいて、お肉提供端末装置に表示された指標に基づいて提供されたお肉の消費を反映する、

というように、マシーンやシステムの動作として表現すれば、「発明」に当たると判断される余地はあったと思います。

ビジネス方法は、単に、人の動作のみでも実現することができるように表現してしまうと、「発明」に当たらず、門前払いとなります。

つまり、ビジネス方法であっても、単に、オペレーターなどの人が行うことができると読めるようなプロセスは、そもそも「発明」には当たらないんです。

この考えは、ビジネスモデル特許が流行った平成8年頃から続いています。

ビジネス方法(ビジネスモデル)を申請する際には、事業計画書のような商品・サービスによる収益手法ではなく、ICT技術によりマシーンの動作とする必要があります。

取得のハードルは3つあり、さらに、もう一つある。

ビジネス方法(ビジネスモデル)特許を得るための法律上のハードルは、3つ 。

ビジネス方法に関する特許を取得するためには、法律上、次の3つのハードルがあります。
<ハードル1>技術的なアイデアとして、コンピュータなどのICT技術を使用していること。
<ハードル2>技術的なアイデアが、新しく、通常思い付かないこと。
<ハードル3>技術的なアイデアをどのように実現するかについて、申請書類で説明していること。

これら3つのハードルをクリアしていないと、特許申請をしても特許を取得することはできません。

ハードル2は、単に、人為的な行為をシステム化したのでは、特許を与えるまでのレベルではないと判断されます。例えば、注文を受けたら、郵便・通信で返信するシステムなどは、仮に発明に当たっても、通常思い付くとして特許を取得できません。

特許申請での大きなハードル

これら3つハードルをクリアしたとしても、ビジネス方法を実現して、売り上げが上がること。

特許申請をしても、売り上げが上がることは保証されていません。

特許申請には、少なくとも数十万、複雑になるともっと掛かります。その申請・取得の費用を超える売り上げの見込みがない場合、費用をかけてアイデアを広く知ってもらえるようにしたということになります。

つまり、アイデアを公開するために、時間とコストを費やしたという結果になります。

まとめ

以上、まとめます。

ビジネス方法について特許を申請するには、

まず、申請・取得に掛かるコスト以上の売り上げが見込めること、

次に、ビジネス方法をICT技術を使って表現することで、「技術的なアイデア」に変換すること、

そして、その技術的なアイデアが、今までに知られておらず、容易に思い付かないこと

を満たしておく必要があります。

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